Short Short Story旅の男

雨の後の夜の前

眼前に静かに横たわる 霧

噎せ返るような濃い空気に喉が詰まり

目に見えぬ糸蟲が肌に絡まる

 

幾重にも重なるレイヤーに木々の存在は薄くなり

曖昧になった河岸の境界が遠くの空と混じる

迫る夕闇を掻き消すように 淡く白い世界が漂う